前の記事で「クレジットカードの貸し借り」について触れましたが、今回はこれを含めた、クレジットカード会員に求められる「善管注意義務」がテーマです。

善管注意義務とは?

善管注意義務とは、「善良な管理者としての注意義務」という意味。これは「業務を委託された人の職業や専門家としての能力、社会的地位などから考えて通常期待される注意義務のこと。」とされています。 これに違反すると、民法上の損害賠償責任が発生する場合があります。簡単に言えば、「他人のモノをしっかり管理する義務」ですね。

他人から借りているものを、紛失したり盗まれたりしないように管理するのはあたりまえのこと。 そして、それを怠り、借りているものが壊れたりなくなってしまった場合には、当然弁償する必要がありますよね。 しかし、なかには責任を逃れようとする人間もいるので、この義務は民法第400条に規定されています。

クレジットカードは、あくまでもクレジットカード会社から貸与されているものであり、会員に所有権はありません。つまり、クレジットカードは他人の物であり、それを借りている会員には、善管注意義務あるのです。 これは、クレジットカードの会員規約にもしっかり明記されています。

JCB会員規約 第2条(カードの貸与およびカードの管理)
3. カードの所有権は当社にあります。会員は、善良なる管理者の注意をもってカードおよびカード情報を使用し管理しなければなりません。また、会員は、他人に対し、カードを貸与、預託、譲渡もしくは担保提供すること、またはカード情報を預託しもしくは使用させることを一切してはなりません。

具体的にはどんな義務がある?

「しっかり管理する」とは、どのようなものか? 具体的に言うと、外出する際には肌身離さず所持し、家にいるときには金庫の中に入れるなど、家族が容易に触れることのできない場所に保管する必要があります。

「そこまでしなくとも…」と思われる方もいるかと思いますが、万が一の時にカード会社からの補償をうけるためには、ここまで徹底した管理が必要になってきます。 その根拠を、カードの紛失・盗難による補償の「対象外」となるケースを定めた「JCB会員規約第40条2項の但書」を参考に説明します。

JCB会員規約 第40条 (カードの紛失、盗難による責任の区分)
2. (前略)ただし、次のいずれかに該当するときは、この限り(補償対象)ではありません。
 (1)会員が第2条に違反したとき。
 (2)会員の家族、同居人等、会員の関係者がカードを使用したとき。
 (3)会員またはその法定代理人の故意もしくは重大な過失または法令違反によって紛失、盗難が生じたとき。
 (6)カード使用の際、登録された暗証番号が使用されたとき。

まず、(1)は、カード裏面に署名していない場合と他人にカードを貸した場合。(2)は、家族などの近しい人にカード情報を盗み見されるなどして利用された場合。 (3)は、会員が注意義務を怠ったことが原因で紛失・盗難に合った場合。(6)は、暗証番号を他人に教えたり、フィッシングサイトで入力してしまい、それが使用された場合です。

いずれの場合も、カード会社の紛失・盗難補償の対象外とされ、被害額は会員負担とされてしまいます。 これを防ぐためには、前述したように「外出する際には肌身離さず所持し、家にいるときには家族が容易に触れることのできない場所に保管する」必要があるといえるでしょう。

善管注意義務を怠ったらどうなる?

もし、善管注意義務に違反する行為があったと認められた場合には、上で述べたように、紛失盗難補償を受けられなくなります。 また、他人にクレジットカードを使用させていたなど、違反の程度が著しい場合には、強制退会の上、残債の一括返済を求められる可能性もあります。 こうなると、かなりの金銭的な負担が生じるため、くれぐれもクレジットカードの管理はしっかり行うよう心がけてください。